『学会会長に就任して』

日本生涯スポーツ学会 会長  萩 裕美子(東海大学)

 

 この度、山口泰雄会長からバトンを渡され会長に就任いたしました。就任に際し、一言、ご挨拶を述べさせていただきます。

 本学会は21回学会大会を終えて、幼少期の10年(フェーズ1)から青年期の10年(フェーズ2)、そして成人期(フェーズ3)に向かい独り立ちしていかねばなりません。まずはここまで学会を作り上げ、発展させてきた諸先輩に感謝したいと思います。
 生涯スポーツという言葉が生まれ、その英訳に苦慮しながらも、社会的背景と意味を考えここまで発展してきました。成人期に入った今、あらためて本学会にこそできるものは何か。を考えていく必要があるかと思います。「Sport for All」「Sport for Everyone」というキーワードで始まった学会ですが、前会長の山口泰雄先生が提唱された「する」「みる」「ささえる」スポーツは今や日本スポーツ振興の重要なキーワードになっております。ここに改めて本学会が果たすべき役割を考えるヒントがあるように思います。
 2019年のラグビーワールドカップから始まり、東京オリンピック・パラリンピック2020、関西ワールドマスターズゲームズ2021と国際大会が続き、スポーツの価値をより多くの人々に感じていただける機会となります。多くの人々が感じるであろうスポーツの価値を、エビデンスをもって見える化し、社会に還元していくことも本学会の役割であろうと思います。またスポーツ庁の中に健康スポーツ課ができたこともエポックメーキングな出来事です。
 平成から令和へと元号が変わり、新しい時代がやってきました。本学会においても次なる世代に、これまでの先輩たちの功績を尊重しながら、新しい価値観と視点でユニークな研究や実践を期待したいと思います。そのために以下の点を大事にしていきたいと思います。

1.学会員の意見を積極的に反映できる仕組みをつくり、若い会員のエンパワーを高める。
2.前会長の提案を引き継ぎ、学会としての社会貢献や地域貢献を進めていく。
3.実践的レポートも受け入れ、様々なレベルの研究を受け止めて研究成果を増やす。

 これらを実現すためには役員、事務局の役割は重要です。役員は前会長の提案をより発展させるために継続してお願いしております。また事務局は広島経済大学から東海大学に移りました。これらの支えを得ながら、本学会の新たな時代の橋渡しをしたいと思います。しかし、最も重要なのは会員一人一人の積極的な参画です。会員の増加、スポンサー確保、質の高い研究の排出、様々な課題がありますが、何よりも参画したくなる魅力的な学会にするためは会員の力が必要です。何卒ご協力のほどよろしくお願い申し上げます。